【帝京大学】今季の戦力雑感(22年5月時点)

今年の箱根駅伝では前4年生を中心に往路2位と大躍進も、復路は一転大苦戦でシード死守すらかなりギリギリになってしまった帝京大学。個人的に、卒業生の穴が大きく正念場ということで今季の帝京の戦いぶりには注目しています。ということで、完全に主観で今季ここまでの帝京について振り返ってみます。

 

 

持ちタイム上位16人

○5000m

西脇翔太③13:56.71(21.9.19)

栗田隆希①14:00.04(21.12.5)

小野隆一朗③14:04.47(21.7.3)

柴戸遼太①14:06.83(21.12.5)

山口翔平14:09.47(22.4.30)

福島渉太②14:09.52(21.4.25)

<6人平均14:04.51>

内藤一輝②14:10.39(20.10.24)

北野開平④14:12.22(22.4.3)

塩井広太郎③14:13.15(21.12.5)

新井大貴④14:13.45(19.10.14)

<10人平均14:07.63>

大吉優亮③14:15.07(19.12.1)

林叶大②14:17.53(22.4.24)

山田一輝④14:19.58(21.7.3)

小林大晟②14:20.65(21.10.1)

藤本雄大14:21.52(22.5.8)

元永好多朗④14:22.45(21.7.11)

<16人平均14:12.07>

13分台は西脇選手1人、14分1桁までで6人、14分20秒までで13人。平均タイムは全大学で20位ほどと現状少し厳しい感じか。ただし、上位6人のうち1年生が3人と将来的には躍進できる予感。

 

○10000m

小野隆一朗③28:50.22(21.9.20)

西脇翔太③28:57.21(21.11.23)

福島渉太②28:57.49(21.11.23)

北野開平④29:04.83(22.4.23)

小林大晟②29:13.22(21.9.20)

山田一輝④29:31.05(21.11.23)

末次海斗③29:31.83(21.10.1)

福田翔②29:37.33(21.11.23)

大花将太④29:39.47(21.12.25)

日高拓夢③29:43.99(21.12.25)

<10人平均29:18.66>

元永好多朗④29:45.82(21.4.24)

針谷咲輝③29:48.10(21.11.23)

尾崎仁哉①29:51.99(22.5.7)

大類駿③29:54.87(21.10.1)

大吉優亮③29:55.38(21.11.23)

比嘉良悟④29:58.15(22.5.7)

<16人平均29:31.31>

主力として数えられる5人とその次の差が大きい印象。また、30分切りが辛うじて16人と選手層も現状は苦しいか。有力な1年生がきっちり距離に対応出来れば秋には見違えた平均タイムになる予感も。

 

○ハーフ

西脇翔太③62:25(22.3.13)

北野開平④62:40(22.1.30)

小野隆一朗③62:56(22.3.13)

新井大貴④63:30(19.11.17)

末次海斗③63:59(22.5.22)

元永好多朗④64:12(22.3.13)

針谷咲輝③64:12(22.3.13)

中野大地④64:55(22.3.13)

大吉優亮③64:58(22.3.13)

小林大晟②65:02(22.5.22)

<10人平均63:52.9>

高橋峻④65:32(19.11.17)

山田一輝④65:44(19.11.17)

内藤一輝②65:54(22.3.13)

鈴木究④65:58(20.1.19)

伊藤圭介④66:26(20.1.19)

林叶大②66:45(22.3.13)

<16人平均64:41.75>

現状の3本柱は実績通りのタイムを出していて、針谷選手まではまずまず戦えていけるタイムか。その後が大きく空いているので、夏合宿を経て上尾ハーフで真価を発揮してほしいところ。

 

※潜在タイム(1万=5千×2+1分)

小野③、西脇③、福島②、栗田①、北野④、小林②

<6人平均13:59.94/28:59.88>

柴戸①、山口①、内藤②、塩井③

<10人平均14:03.95/29:07.89>

新井④、大吉③、山田④、末次③、林②、福田②

<16人平均14:08.48/29:16.95>

 

3本柱、各学年、個人的ピックアップ

○3本柱:北野④、小野③、西脇③

昨年度の出雲から下級生の柱は小野・西脇・福島・小林選手だったが、北野開平選手が箱根から急成長、そこに割って入ってきた構図。箱根こそやや苦戦も、今季の主将となってからは5千1万ハーフ全てでベスト更新、インカレ1万でも健闘と立派な柱に。小野隆一朗選手は箱根往路2位の先陣を切るなど、これまで4度の駅伝全てで1区。ハーフ62分台に乗せ、1万も安定。彼の1区での浮沈は今季の駅伝を大きく左右しそう。西脇翔太選手はチーム一の5千のスピードが持ち味。箱根では区間10位も序盤から攻めたことで後続を振り切りシードを守った。更にハーフも62分25秒とチーム歴代でみても好タイムを樹立。スピードの西脇選手、マルチな小野選手、スタミナの北野選手と三者三様な三本柱でバランスが良い印象、そして3人ともここまでまずまず順調に推移している。年間通じてチームを牽引し続けたい。

 

○4年生

北野選手以外には、この世代で最も早く頭角を現していた新井大貴選手がまず最上級生のポイント。1年次の上尾で63分半を出すも、2~3年次は苦戦した印象。今年に入ってから学生ハーフ65分32秒、1万は30分16秒と高校時代のベストは更新。ひとまず復活の一歩は踏み出せたか。秋に主力としてカウントできるようになれば大きい。今季の箱根で当日変更の悔しさを味わったのが元永好多朗選手。学生ハーフでは64分12秒と中間層では代表格になれそうか。彼は4月に一人フルマラソンに挑戦していて2時間17分台とまずまず、箱根の9・10区を締める姿が想像できる。中野大地選手は学生ハーフ65分切りを経てインカレハーフに出走。今回は壁に跳ね返されたか、これを糧に更に走力を伸ばしていきたい。他には、持ちタイムでは山田一輝選手大花将太選手がいて、今季の成長株としては比嘉良悟選手が5月の日体大で30分切り。例年になく下級生に勢いがあり、佐藤諒太選手世代と被る部分を感じるがなんとか意地を見せていきたい。

 

○3年生

西脇・小野選手が大きく際立つ世代だが、彼らに次ぐ存在としてはまず末次海斗選手か。昨年から雑誌の記事などでは練習が出来ていると噂も箱根は当日変更で走れず。しかし、遂にインカレハーフ63分台で一つ本領を発揮出来た。この調子で主力へと成り上がりたい。次に、元々この世代では小野選手に次ぐ存在だった大吉優亮選手。1年次は不調も、昨年度は復調し、29分台・64分台で走れる状態まで到達。そして得意の3障では今年遂にインカレ4位入賞、チーム唯一の得点獲得と貢献。長い距離でも戦力になれるか。先述の元永選手と同タイムの64分12秒を学生ハーフでマークした針谷咲輝選手も駅伝シーズンの活躍が楽しみな存在。他には、5千14分13秒と光る塩井広太郎選手が今後距離に対応できるかは注目だし、日高拓夢選手大類駿選手は29分台を持っている。彼ら1人1人の成長はチーム全体の選手層の底上げに最も直結しそう。エース2人のみならず、チームの屋台骨を担う学年となりたい。

 

○2年生

3本柱に次ぐ福島・小林選手が中心となる世代。小林選手は個人的注目選手なので後述することにして、まずは福島渉太選手。昨年度、前4年生と共に出雲・全日本・箱根全てにエントリーされた10人のうちの1人で、箱根7区で初出走。その過程で28分台もマークした主力だが箱根以降はレースに不出場、全日本予選もあるなかで早期の復帰が待たれる。そして今季台頭してきたのが林叶大選手。4月始めに3千8分20秒切りとスピード面で成長を示すと、その3週間後には5千でも14分17秒と好走。その勢いを買われたか、インカレ5千の出走も勝ち取った。ここでは壁に跳ね返されたが今後の活躍に要注目。また、高校時代都大路5区1位の実績があり、14分10秒を持つ内藤一輝選手の状態は気になる。昨年は不調に苦しんだ印象で、学生ハーフは65分54秒となんとか戻してきた感じに見えるが果たして現在は?福田翔選手も昨年29分40秒を切っている。その他にも14分29~35秒の間に6人、彼らの中から長い距離で頭角を現す選手が出てくると更に楽しみな学年となる。

 

○1年生

例年になく好タイムで実績のある選手が揃った。既に栗田隆希選手柴戸遼太選手山口翔平選手は5千でチーム5番手以内に入る14分1桁を持っていて、3人ともインカレに出場。栗田・柴戸選手は5千で予選通過は果たせずも、この経験が今後彼らを強くしていくはず。山口選手は得意の3障で大学記録を更新、着順で予選を突破して決勝を迎えるもアクシデントで無念の途中棄権。それが無ければどんな結果だったのか?ひとまず軽傷を祈りたい。この3人は出雲から戦列に加われそうで、昨年の福島・小林選手のようになれれば一気に選手層を厚くできる。インカレには3障で鎗田大輝選手も出場。長い距離を見据えるなら、まだ5千が14分39秒の尾崎仁哉選手が早くも29分台をマークしているのもかなり大きい。入学時点で14分半切りが8人いて、さらに尾崎選手や14分21秒と一気に20秒もベストを更新してきた藤本雄大選手でもう10人。将来的に前4年生世代のような強力世代となれるポテンシャルを感じる。

 

○個人的ピックアップ:小林大晟選手

彼については入学時から注目し続けています。その時点で29分35秒を持っているのも貴重だったし、結局出走はしなかったものの昨年の五輪マラソンテスト大会のハーフにエントリーしていたので長い距離に強いのかなと。その実力通り、福島選手と同様に当時1年生ながら出雲・全日本・箱根全てにエントリーされ、全日本7区でデビュー。1年生なのに、とも思うがかつての平田幸四郎選手と重なる部分を感じたし、順当な抜擢とすら個人的には感じられた。流れが悪い中で区間11位と粘ったが、その後調子を落としたか箱根は走れず。今季は4月日体が初戦、29分45秒でまとめた後にインカレはハーフで出走。意外にもこれが初ハーフということに。結果は65分2秒に終わったが、こんなものではないはず。63分前後の力はあると見ています。今季の駅伝は長距離ロードという彼の強みを存分に発揮してほしい。出雲は6区、全日本は7・8区、箱根は2・9区で見たい。トラックについても5千は明らかに見合わないし、1万も28分台は出してほしいところ。今後も彼の活躍には要注目です。

 

箱根後~5月の振り返り

1月30日:大阪ハーフ

新主将となった北野選手が62分40秒と快走、箱根の悔しさをバネに順調なスタートを切れたのでは。

3月6日:東京マラソン

卒業していった細谷翔馬選手が大学では最後の勇姿を、どころか学生歴代3位の歴史的な走り!そしてその後、彼は山形県縦断駅伝の8区で58分台というこれまた歴史的な区間新記録。早くも最強市民ランナーとなった彼はどこまで高みに上り詰めるでしょうか?

3月13日:学生ハーフ

エースの西脇・小野選手がここで順当に62分台突入、北野選手も63分1秒で続いた。元永・針谷選手の64分12秒は大きな収穫。その後インカレに出場することになる中野・大吉・末次選手はここで65分前後と及第点の結果を残せたのが後に繋がったか。その次が新井・内藤選手と復活待ちの両名が65分台。またその後台頭してくる林・比嘉選手は66分台だがここでその片鱗を示せたと言える。

4月2・3日:国士舘大記録会

林選手は同日のセンゴ・3千を3分56秒と8分19秒で揃えて好アピールに。新入生の山口選手は3千8分14秒と持っているスピードを存分に発揮。5千では西脇・北野選手がまずまず良く、北野選手は自己新。末次・中野選手も出走していたが、インカレハーフに向けて同様のレースの予定を組んでいたか?

4月17日:かすみがうらマラソン

元永選手が1人フルに出場して2時間17分6秒。彼の次戦はいつになるのか?

4月17日:日本学生個人選手権

山口選手が3障で8分48秒の自己新、これは大学記録も更新した模様。

4月23・24日:日体大記録会

インカレハーフ組の3人はここで1万に出場した。北野選手は29分4秒と1万でも自己新、小野・西脇選手も29分前後にまとめた。5千では林選手が14分17秒と好走した他、栗田・柴戸選手がここでデビュー。栗田選手は14分1桁でまとめた。その後躍進してくる尾崎・比嘉・藤本選手もここで場数を踏んでいる。

4月30日:法政大記録会

インカレ3障組の3人が出走したが、山口選手は5千で14分10秒切りの自己新。林選手がここでは3障を走っていてA標準を突破と、マルチなところを証明した形。

5月7・8日:日体大記録会

ここで尾崎・比嘉・藤本選手が自己記録を大幅に更新してきた。また、新井選手が1万でひとまずは高校時代のベストは更新、塩井選手は14分25秒。昨年は16分台でしか走れていなかった大辻選手が14分35秒まで戻したのも個人的に印象的だった。

5月19~22日:関東インカレ

○1万…小野③9位29:05.01、北野④15位29:18.00、西脇③21位29:49.82

○5千…(予)柴戸①1組14位14:24.83、栗田①2組19位14:36.10、林②2組23位15:30.17

○ハーフ…末次③14位63:59、小林②26位65:02、中野④43位66:54

○3障…(予)鎗田①1組5位9:01.19、大吉③2組2位8:52.35、山口①3組3位8:51.46

(決)大吉③4位8:51.06、山口①DNF

1万は3本柱が出場。小野・北野選手は健闘も、西脇選手は29分50秒を要したのは悔しかったか。5千は柴戸・栗田・林選手が出場も、決勝には届かず。この悔しさをバネにしてほしい。3障には鎗田・大吉・山口選手。大吉選手は4位入賞と躍進、山口選手はアクシデントに見舞われたが大丈夫か。ハーフは末次・小林・中野選手の3人、末次選手は遂に本領を発揮できたが、他2人はこんなものではないはず、今後のリベンジに期待。

 

現状で16人を選ぶなら、今後

今の戦力(状態ではなく)で箱根エントリーを迎えるとしたら、個人的にはこの16人を選ぶかな・・・ということで、

4年:北野、新井、元永、中野

3年:小野、西脇、末次、大吉、針谷

2年:小林、福島、林、内藤

1年:栗田、柴戸、山口

距離対応次第だと思うが、現状だとやはり下級生への期待感が高くなるかな。

 

各駅伝・予選会のメンバーを妄想するなら、

○全日予選

1組:大吉③・林②

2組:末次③・柴戸①

3組:北野④・小林②

4組:小野③・西脇③

○出雲

小野③~西脇③~北野④~福島②~栗田①~小林②

○全日本

山口①~西脇③~小野③~福島②~柴戸①~末次③~小林②~北野④

○箱根

小野③~西脇③~栗田①~北野④~新井④

山口①~福島②~末次③~小林②~元永④

こんな感じで。この時期だし、願望込みもあって傾向もあまり考えてないので悪しからず。

 

他校の今季の陣容も考えると、有力な1年生が加わったとはいえまだシード死守も難しいかなというのが現在の自分の正直な感想です。しかし、この戦力でシード死守を果たせたら現1年生や小野・西脇選手を軸にまた再浮上、数年間は安泰なチームを作っていけるはず。その意味で今季の帝京は正念場と捉えているところですが、夏を超えてどんなチームに変貌しているか。あっと驚かせる中野マジックで、「あんな予想をしてすみませんでした!」と1月3日にツイートしたいです。